Photo and words
「永久」
私の部屋が 天空に浮かび
彗星のような光になり
何億光年も流れて行く
美しい孤独な夜がある
辿り着けば
無限の宇宙の
無音の海がある
億万年に一度 海面に昇る
宇宙一美しい 人魚が居た
ここは 「永久」
宇宙一美しい 巨大な孤独がある
「ひきだしを かざる」
ランドセルを まえに しょって
おおてをふって がっこうから かえってきた
つくえの ひきだしを あけると
そのなかに うみがあった
すながもられ
かいがらが ころころころがって
ビーだまや おはじきが
ゆれる なみのように
きらきら まぶしかった
「うみに いきたいんだよね」
おかあさんは まあるい えがおでいった
「うれしい」
そういうと なみだがでた
ほんものの うみがある
おかあさんが ひきだしを かざってくれた
「晴れた日に」
晴れた日に 涙する 犬がいる
晴れたせい 涙する そう小さく
涙する 涙する 涙する そう小さく
晴れた日に 涙する 片足の犬がいる
晴れた道 晴れた鳥 晴れた人 晴れた爪
涙する 涙する 涙する そう小さく
晴れた日に 涙する 犬がいる
晴れたせい 涙する 嬉しいな
涙する 涙する 涙する そう小さく
「招待状」
11月に クリスマスキャロルを部屋に流し
独り 銀粉のネイルを塗る
マスカット色の頬紅を三角に入れ
金粉で鼻筋を撫で 小豆色の口紅を塗る
ドレスコードは ナイトウエディング
ドアの外は 西欧のホテルだと
猫の仮面を 額に乗せて
ファーシューズを 履いていると
シンデレラに 届いたような
舞踏会の招待状が来る
「帽子箱のふた」
プロヴァンスの
ある婦人の帽子
ツバ広の白フエルトの 桃色サテンリボン
ある晴れた日
白いドレスと ピンク色の日傘と 白い靴
くまなく着飾って 馬車が出た
婦人と赤子は 日傘に入り
シルクハットの夫は 手綱を取り
犬は主人の脇にきちんと腰かけて
広大な芝生の 競馬場に行った
帽子箱のふたが話す
「昔の事です」
「支えているよ」
光と風が ふわと沸いて 君をいだく
君の心に咲く 花達を 歌う鳥達を
育つ木々達を 支えているよ
思いめざす 瞳の彼方 一つの月も あまたの星も
昇る太陽も 渡る雲も 支えているよ
君は今日から 思う所まで ちゃんと行ける
口に出して 言ってごらん
何が好きです 何処に行きたいです
「まいにち おもいだすこと」
まいにち おもいだすこと
それは かみさまの 「愛」
きみは だれか というと
きみは「愛です」 ということ
「約束」
流星群のベランダ
凍らせたブルーベリー
シャリシャリ食べる
夜は涼しいね
やっぱり イギリスのスリムなジョーロを買おう
幸せのワイルドストロベリー だからね
コンクリ花壇のミントが
雑木林に恋をして
風を嗅いだふくろうの 翼立つ
朝陽を見に行けば 外国の車の広告が入る
毎日 アメリカのクッキングペーパーがある
地球の事をこの部屋で
一生暮らす約束がある
「幸せな日」
ありがとうを たくさん言って生きたら
宝島みたいな 毎日になった
嬉しいを たくさん言って生きたら
そこら中の空気が きれいになった
おいしいと ご飯を食べて生きたら
世界中が 食べものでいっぱいになった
隣の人と 手をつないだら
地球中の人が 手をつないだ