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Photo and words




「スケートをはいた馬」

ある日の 学校の帰り
木漏れ日の道に トンネルがありました

「ぼうけんのとびら」と書かれています
犬も ヤギも にわとりも来ました 
ふくろうも ねずみも 野良猫も来ました
ヒツジも リスも うさぎも来ました
川を上がった ビーバーが 
浮き輪を持って 立っています
ローラースケートをはいた馬が
道案内です

みんなは 馬の後ろに一列に並んで歩きます
僕は 馬の背中で 聞きました

赤い砂の 砂漠でも
海をわたる 船の上でも
食べ物がひとつもない 湿原でも
洞窟でも ジャングルでも サバンナでも
ここがどこでも
あなたが おじいさんでも
あなたが おばあさんでも
私が 馬でも

いつも 待ち遠しい事があります




「かあさんへ」

声を放るように
遠い町に 手紙を書く

建築現場で怒鳴られては 人の形を無くしそう

仕事が空くのは いつも月の無い夜ばかり

電柱の灯りが 野良犬に降り注ぐ

「一旗あげるまで帰れない」 
三角顎の痩せ犬が家路を辿る

毎晩 
破れた耳を抱いて眠っているよ

母さんは 
僕を 弱虫だと言うだろうか




「泣いたれよ」

泣いても いんだよ 泣いたれよ
よろずの かみさま ゆるしたり

みちを くねって まぐれたか
なんの しかけに かかったか

もりに まがって いりくんで
おまもり なくして しまったか 

こころが まだらの ようそうか
よんで くれたる ひとなしか

はだかの かげが うつったか
あめふりまちに すんだのか

としよりびとに なったきり
おつかい たのむ ひとなしか

なみだは めすまま ながすもの
なんの からくり なさぬもの

なみだ とめるは こころ とめる
泣いても いんだよ 泣いたれよ




「ハロウィン」

一瞬で 嬉しくなってほしいの
簡単に 喜びが 来てほしいの

きみの まばたき一回で
きらきらの風が吹く
ダンスを 踊るよ

通りで 凍えてる犬も 連れて歩くよ
しあわせの迷子に ならない
魔法が かかる日だよ




「夢と生きる」

夢に 出会ったら
夢のために 生きていこう

夢の色が 褪せないよう
声をかけて 暮らそう

夢が 立ちあがるために
昼も夜も 傍で面倒みよう

夢が 外を歩く日が来たら
人生を 差し出そう

夢が 壊れたりしないよう
身体をはって 命を懸けよう




「災害」

巨人が歩くような 地響きが
家族を 故郷へ いざなう時
被災民の 小さな家に 足を踏み入れた

私の刺繍が かばんに仕立てられて 
金メッキの フックに 掛かっている
手指がかばんに 見とれた

景色を越えて 沢山の街灯を越すの
空も 故郷も 愛も 胸にたぐめた
さあ かかとを あげよう




「孤島」

今宵 皆は思い出す
とてもおおきな 一個の孤島を
世界中の人々がつながる
一個のまるい大陸を

誰かが生きた
うつくしい思い出の たった一つが
世界中の思い出になる
心つながる 孤島を

私の思い出の たった一つが
地面に 咲いて
母の庭の すずらんの香りが
腕を広げる 孤島を

孤島は 世界中の朝を
137億年届けている
今朝 皆は思い出す
光の力あふれる 一個のまるい大陸を




「平和の復唱」

私は 私が幸福である事に 責任をとります

私は あなたの幸福に 責任をとります
  
私は 誰をも 傷つけず
誰からも 傷つかない事に 責任をとります

どうか 私が言った事を
復唱して 覚えてください



「わかれ」

わかれのひが きました

「のどと むねが くっついて
ほおが かたく もちあがるきみ

きみに なにもいえない
パパの せいです」

パパは いいました



わたしは てがみを かきます

「たいせつなものを おきわすれて
いってしまったよ

シンデレラ みたいに
きっとまた むかえに きてください」