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Photo and words



「孤独と結婚した」

私は 失恋した
恋人と別れ 毎日 泣き腫らし
言葉に言い得ない 孤独と
一緒に 暮らした

その孤独は
誕生日に貰った プレゼントのような 
顔をしていた

捨てるわけにも
喜ばないわけにも
大切にしないわけにも いかなかった

寂しくて 悲しくて
ただただ 一緒に 暮らした

孤独は だんだんに
孤独の癖に 微笑むようになった

孤独は 私を毎日見つめ
私は 孤独を 毎日見つめた

私は 孤独と 結婚した




「りんごのくりぬき」

りんごの芯を
ナイフをさして くり抜いた

そのりんごを 空にかざしたら
てんとう虫が1匹 穴から 降って来た

そのりんごを 目のかわりにして歩いていくと
大鍋で 牛乳をわかす おばあさんがいた

そのりんごを 指にさして 歩いたら
歓楽街で ホームレスに みつめられた

そのりんごの 穴の向こうに
雷ごうの光をあつめる ギラギラの町があった

そのりんごを 縦にしたら
その穴から咲きたいという 花がやってきた

そのりんごを 横に転がしたら
大勢の猫が 代わる代わる 穴に前足を入れに来た

そのりんごは 自分は なぜくり抜かれたのかわからない
美術館の額縁になるのかなと ゆくえを心配した

そのりんごに 一足先に 夏をあげた
布で編んだ ぞうりを 履かせてあげた

そのりんごは 写真に撮られて 一仕事を終え
巨大なボウルの 水に浮かび ゆらゆら眠った




「君なんか」

知らない 君が誰を好きだろうと
聞かない 昨日何したか
知らせない また会う日
おしえない 君を思い出す物の事
さわらない 君が寄こす風
もらわない 君が寄こす光

君はお天気と友達 君は時間と友達
君は笑顔 君は勇気

さがさない 君の奇跡
みわたさない 君の余韻
信じない かけがえのない事
覚えない 君がくれる力
譲らない 好きな物
使わない 恋その言葉

歩かない 肩ならべ 足音も聞かない
君なんか 歯を磨く位の事