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「自由に持ち去られる傘たち」
旅立つよ
さようなら
また会えたらね
おかえり
もういくの あなたもいくの?
あなたも あなたも いくの?
また会う日まで
おかえり
壊れちゃったよ
どこに行くの?
チリになって 空に行くの
さようなら
さようなら
生まれ変わったら
人間になって
世界中の傘を さらいにいく
「桜の花びらに足を埋める」
母が死んで
アパートにひとりきりになった
母が ただいまと 玄関に来たりはしまいか
桜になったりはしまいか
真夜中の公園に駆けて行って
45リットルのビニール袋いっぱいに
桜の花びらを拾い集めて来た
玄関に広げて
母の靴を履き
桜の花びらに足を埋める
「歌うたい」
メイ・ベルフォールは
カフェ・コンセールの 歌うたい
赤ん坊みたいな ひだひだの帽子
ネグリジェのような ピンクのあで着
羽の透けた はかない 草かげろうみたい
黒い目と 黒い髪と 黒い猫を胸に抱いて
ステージにあがると
星のライトが ふりそそいだ
クリスマスの夜も 歌うでしょう
新年の セーヌの 舟の上でも 歌うでしょう
しろたえ桜の 木の下でも 歌うでしょう
コンコルド広場の噴水の
涙のしっばねがあがる 建国記念日にも
歌うでしょう
メイ・ベルフォール 新年に配るちらしを
ロートレックに 描いてもらう
人は 一人では 生きていけないもの
人は 一人で 生きて行っては いけないもの
(アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック
「メイ・ベルフォール」の絵に添えて)
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