おとぎの国の色

「おとぎの国の色」


4月の新緑は 夜中に 口を空にひらき
空が落とす 春のチリを
朝もやと のみ込む



新年から のみ込んでいるのを
誰も 気づいてくれなくても
「外の景色が 変わった」と
誰かが言っても 言わなくても
自分を 名乗ってはいけない



4月の新緑は おとぎの国の色
人間が 覚えなくてもいい色
人間に 知られなくてもいい色
懐古の中で 授かるだけの色




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