「あたらしい冬用スリッパ と もれんもれん」

私は、スリッパが大好きです。先日スリッパを買いに出て、3時間歩きました。
通りで人とすれ違う事は殆どありません。
私の脇を通るのは自転車か車です。近所の総合病院の周りは歩いているお年寄りに出会います。

ペクが朝、作ったお惣菜を持って来てくれる時間にエレベーターを降りていくと、
マンションの下には、介護施設の車が何台か来ます。
住んでいるお年寄りがディサービスに行くのです。
私はその光景が好きです。介護士さんに手を繋がれて小さなエントランスを歩き、階段をゆっくりと3段降ります。
母とこのマンションに越して来た一番の理由は、母が上れる階段があり、エレベーターがあったからです。
母も介護施設の方に手を引かれてディサービスに行っていました。
ここに来て母は入退院を繰り返し、やがて介護老人施設に入り、車椅子とベッドの生活になり、朝陽など見る余裕は全く無かったと思います。
綺麗な朝陽を見る度、母にもう一度ここに帰って来て貰いたいな、私の隣の部屋に泊まりに来て貰いたいなと思います。

雨が上がった朝に、雲が「もれんもれん」と山にかぶさります。
「もれんもれん」という言葉は、母の実家が黒羽なので方言でそのように言うようです。
ですが、母以外の人に「もれんもれん」という表現を使う人に出会った事はありません。
私がこの言葉を、紙の上で使って行こうと思います。