「息と暮らす」

机に肘をつき
左の手のひらに
ひたいをのせて目を閉じた
息は寝息のようだった
両手を合わせて ひたいを乗せたら
息が 居なかった
息は 止まっていた
息は 自分があっても無くても
いいと思っているらしかった
私は 息を 連れて歩いて
スーパーに行き
アレルギーで食べられない 桃を買った
息を 連れて歩いて
遠いドラッグストアに行き
夏の 息快適マスクを買った
病院のコンビニで
途轍もない 大粒のたまごボーロを見せたら
息が「ふふっ」と吹きだした
次から次から「ふふっ ふふっ」と沸いてくれた
私の日傘と 夏の太陽の どちらが好きですか
スニーカーは 何色が履きたいですか
ネットで夏のワンピースも買いましょうか
もしかしたら アリは好きではありませんか
不自由な思いは させないし
いつも 喜ばすから
息よ 私と長く暮らしてもらいたいです