「しらゆきひめ」

「しらゆきひめ」

洪水の日の真夜中に
ざぶんざぶんと通りに流れ出た
電気屋の電球です
おかみさんが水に足を取られながら
私達を拾ってくれました

おかみさんは 私達をひとつひとつ
水でクリクリ洗い
シーツをひろげて
太陽に干してくれました。

天井のライトに差し込むと
バチン!と破裂します
全員 トンカチで
砕かれる事になりました

「しらゆきひめさん
しらゆきひめさん
この電球りんごに
片頬ついて寝てください」

それは 私たちに掛けられた
最後の言葉です




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