「郷愁」
昨日、同じ写真で書いた詩が、とても重かったので、もう一度、書き直しました。
「郷愁」
草原の風に吹かれて 発砲スチロールのフタが
パタン パタン カタン カタンと
右に左に 何時間も 草を打っている
もしも 大晦日に お堂で撞いた 鐘ならば
軒に 凍った新巻鮭が ぶら下がっている
ももの花びらを 浮かばせた水の中に
幼い頃の 川遊びが 思い浮かぶ
冷たい川で はしゃいで 唇が紫色になる
夏の河原の 灼熱の石の上に
バナナを2本乗せて 温めている
強い朝陽を見た朝は 心がひび割れる
明治生まれの祖母が 真冬の寒い部屋で
窓から射しこむ 光にくっついて
東から西へ 部屋を渡りながら お針をしていた
私の 夏の浴衣を 何枚も縫ってくれた