「鏡の門出」
家に来た 立派な鏡に
景色を見させたいと思い
一日 あっちからこっちから
良い景色を探した
寒い午後に
千鳥格子のコートに袖を通し
100円ショップの
100円の額縁を見繕う
金色の額縁が
黄色いひまわりの顔に
きっと似合う
目の奥に 思い浮かべながら歩いた
私の気持ちに見合う
小さな景色から 見てもらいたい
鏡の想いに見合う
大らかな景色を 一緒に見たい
くじらがおよぐ 海原かもしれないし
牛が寝ころぶ 草原かもしれない
立派な鏡に
良い景色を見させてあげたい
私が祝う「鏡の門出」を
鏡は 嬉しく受けとめてくれるだろうか