「ぼくは ぼくだけで うごいている」
いま くち きけないよ
はてしなく はしり つづけている
きけないよ
いま こえ かけないで
てがみも にもつも よこさないで
ぼくは ぼくだけで うごいている
あめも かみなりも はいれない
ははも ちちも はいれない
いきるも しぬも
ぼくには ついてこられない
ついてくるのは ぼくのなみだだけ
どこにいこうと ぴたりとついてくる
いま ぼく よばないで
こえのひだを みせないで
うずまきの こえのイバラをもっている
ねこになって ふとい きにのぼり
にゃあにゃあ と ないて
はっぱに まみれたら
けを いっぽんいっぽん
スケッチブックに ならべて
かおりを かいでいる
ぼくは ぼくだけで うごいている
いま めを とじている
いま くち きけないよ