「寂しいさん」

「悲しみ」の下に 「怒り」がいます
「怒り」の下に 「寂しいさん」がいます

寂しいさんは 四六時中
半透明のビニールケースを
ぶらさげています 


ケースは 開ける日が決まっています
両親が死んで 兄妹も子供も友も自律して
見渡す限り どこの馬の骨かわからない
天蓋孤独に なった日です


その中には
マグマのように赤々と膨らむ
人肌のやわらかい「拳」が
ひとつ 入っています




関連記事一覧