ピンク色の紫陽花が私に微笑んでくれる。
早起きの私は、ベランダ側に洗濯物を干した。
ご近所の方々も干し始めていた。
窓をあけて空気の入れ替えするうちに、
「グイーングイーン」という騒音がひびき渡る。
下を覗いてみると、
いよいよベランダ側の設置が始まるらしい。
ただ、まだ1階のひび割れや汚れなどを落としていると思われた。
この匂いは、ガソリンのキツイ匂い。
たちまち鼻が折れる程痛くなり、
騒音と匂いで、
精神的にもくずおれる。
ここに、数カ月暮らさなければならない。
ひとつの事でくずおれているわけじゃない。
色んな事がある。
SNSの世界でも、
自分が切り落とされたり、
要らぬものが入ってきたりして、
一喜一憂してしまう私は、
それだけで、起きていられなくなる。
そういう心身なのだから、仕方ない。
辻仁成さんが、たまに書くのは、
自分の方を向かない人
リスペクトないのが伝わる人には近づかない
という言葉。
私は辻さんのブログや活動をいつも見るのが好きだ。
最近は、ミニチュアダックスフンドの「三四郎」の記事があがるのを楽しみにしている。
そうだ、それよりも、
「ピンク色の紫陽花」がいよいよ、ベランダに出せなくなるじゃないか。
どうしたらいいんだろう。
叔母に電話をすると、精いっぱい咲かせてから、
切って、地植えにしたらいいと言う。
それまでは、ネットがあっても育つから、育てていたらと言う。
そうか、今日は、私はひとりぽっちになってしまった気分だっだ。
それが、このピンク色の紫陽花が、私に微笑んでくれている。
信じられなかった。
「花が自分に微笑んでくれている」と感じた事は、
いまだかつてなかった。
それに、この紫陽花は、巨大なネットに勝ってしまったのだ。
なんて華やかで美しいのだろう。
心がバリンと割れそうになった日だ。
午後には、
建物の3分の2がネットでつつまれてしまった。
通路側には、
あっという間にネットが上から下まで張られた。
そのネットもペンキや土ぼこりがくっついている。
こんな風になるのか。
暗いじゃないか。
空気も濁ってしまっているじゃないか。
それでも、私は、
「ピンク色のカーネーションのような紫陽花」があるおかげで、
助かったと思った。
昨日の夕方、ペクが、
アウトレットに連れて行ってくれた。
ソフトクリームのピンク色の素敵な事。
割れてしまうコーンは、
足下に来たスズメが食べていた。