雪は朝突然あらわれます。
雪は、朝、突然あらわれます。
カーテンの隙間に、
なんの音も立てないで、
眠りから覚めたら、外にいるんです。
「まさか今朝来るとは思わなかった」
と、何回来てくれても、驚くし、そう思います。
この冬、何回も来ていているのに、
不意をつかれたように、また驚いてしまうんです。
それから顔をあげて、カーテンを全部ひらいて、
窓ガラスの内側に立つんです。
まるで私がいないように、なるんです。
私の息が雪にとってかわったように、
雪が降る光景と私はひとつになってしまうんです。
今日はずっと降っています。
雪の粒が、
大きくなったり、
小さくなったりするのを机か座って眺めます。
そして夕方は、またカーテンを引きます。
折角来てくれたのに、
ごめんね、ありがとう。
明日は、来るのかな来ないのかな。
雪が人格化した夢は、一回もみたことがありません。
ただ、この土地に生まれてずっと、
日ごろから、私は雪に遊んでもらっています。