ペクの日を作った。
ペクは、10日も風邪を引いている。
最初の7日間は高熱と微熱と咳が出て、死ぬほど苦しかったという。
それでも、病院の帰りには、私の所に立ち寄った。
コーヒーも喉に染みるようになってしまった。
声が出ないという事がどんなことか一緒になって実感した。
私の所に来る時に、エレベーターを上がらず階段で来た時がある。
はあはあ言っているので、どうしたのか聞くと、声が出ないなりに
「エレベー・・オトコノヒト・・イタカラ」と言う。
「少し待って上がってくればよかったのに」と私は言った。
ペクが帰ったあと、買い物に出てエレベーターを使うと、誰かがエレベーターの赤いドアに黒い泥がなにかを塗りたくり、あちらこちらにも、その泥のようなものが散らばっていた。「暴走族のような悪」がそこにいたように思える悪戯だ。
理由を話そうにも、話せなかったのだと思うと胸が痛かった。
「声が出ない」という事は、伝えたくても、伝えられないという事だ。
ペクは最近手話を習っているのでより身に染みたそうで、私も身に染みた。
ペクの代行は、電話代行がある。
電話を掛ける用事があっても、声が出ないので、電話が掛けられないのだ。
それで私が、代行を数回引き受けた。
内容が、少し難儀なものもあった。
声が出ないというのは、
出てはいるのだけどかすれた蚊の鳴くような声なのだ。
それでもこの2~3日、熱が下がり仕事に出ている。
お客様とのコミュニケーションがとれないだろうが、逆に「大丈夫だから」「いいからしゃべらないでも」と気を使ってもらっているらしい。
私は、「ペクの日」と題した昨日、
彼女にティッシュケースを作った。
猫を4匹飼っているくらいの猫好きなので、猫の生地をみつけてきた。わりとしっかりした生地があった。
レースちょこっと付けて、口のティッシュが出る所にフリルも付けた。
これは、彼女が私に持って来たもの。
お見舞いに貰ったものと、おかゆは今回の風邪で美味しくてはまってしまったものらしい。
この他にもくだものを持って来て貰っている。
この時期になると貰う「洋梨」もひとつあって、とても美味しかった。
一日も早く、声が使えるようになるといいと思っている。