「飼い葉桶の桜」

お寺の松の足許に
桜が集まって
この春は もうここで
眠るしかないと
話していたの
その声を
カラスが聞きつけて
拾われて来た みなしごの
飼い葉桶のかたわらで
話したの
2階のベッドにいた私は
スーパーのレジ袋を持って
慌てて 出て行って
桜を 一枚残らず
集めて来たの
みなしごの 痩せた木の
飼い葉おけに 水を張ったら
飼い葉桶の木が ぱっつり膨らんで
桜を 浮かべて 微笑んだの
飼い葉桶と 桜は
命の友達に なったの
ドウシヨウ
コレイジョウ ノ コトヲ
シテアゲラレナイ
飼い葉桶と 桜の
水を 張り替えながら
私の春を ささげたの